ホテルレストラン厨房の仕事内容|仕込みからランチ・ディナー営業まで

KITCHEN JOURNAL

What Does a Hotel Restaurant Kitchen Do in Japan?

ホテルレストラン厨房の仕事内容

From preparation and lunch service to dinner orders, plating and the last ticket.

仕込み、ランチ、ディナー、オーダー、盛り付け、そして最後の一皿まで。

A hotel restaurant kitchen begins working long before the first order arrives. Ingredients are prepared, sauces and garnishes are checked, plates and equipment are set, and each station is made ready for service.

Once the restaurant opens, the rhythm changes with every order. This journal follows the work behind lunch and dinner service — from preparation to overlapping orders, plating, coordination with the dining room, and the final ticket of the day.

ホテルレストラン厨房でランチ・ディナー営業の料理を仕上げる調理スタッフ

ホテルレストランの厨房では、実際にどのような仕事をしているのでしょうか。

「ランチやディナーの厨房はどう動いている?」
「注文が入ってから料理が出るまで何をしている?」
「一度に注文が重なったら、どうやって料理を作る?」
「ランチが終わったら、そのまま休憩になる?」

そんな疑問を持っている人もいると思います。

ホテルレストラン厨房の大きな特徴は、営業前に準備したものを、営業中に入ってくるオーダーに合わせて一皿ずつ完成させながら、次のオーダーにも対応できる状態を保ち続けることです。

営業前には、食材を切り、肉や魚を下処理し、ソースやスープを仕込み、付け合わせや皿、調理器具を準備します。

そしてレストランがオープンすると、厨房の仕事の基準が変わります。

次に何を作るのかを決めるのは、お客さんから入ってくるオーダーです。

仕込み ↓ 営業準備 ↓ オーダー ↓ 調理 ↓ 盛り付け ↓ 提供 ↓ 次のオーダー

レストラン厨房とは、一皿を作る場所であると同時に、「次の一皿をすぐ作れる状態」を営業中ずっと維持する場所でもあります。

このKITCHEN JOURNALは、制作者自身のホテル厨房を含む調理現場での実務経験を土台に、公開情報や資料による調査を加えて制作しています。

ホテル、レストランのジャンル、厨房規模、分業方法、メニュー、役職によって仕事内容は異なるため、一つの職場だけを基準にせず、ホテルレストラン厨房で共通しやすい仕事の流れを中心に整理しています。

それでは、営業前の仕込みからランチ・ディナー、最後のオーダーまで、ホテルレストラン厨房の仕事を順番に見ていきます。

JOURNAL 01

Restaurant kitchens move with every order. ホテルレストラン厨房は「オーダー」で動く

ホテルには、朝食、レストラン、宴会など、料理を提供するさまざまな場所があります。

その中でもレストラン厨房を理解するときに重要なのが、料理が動き始めるきっかけです。

レストランでは、お客さんから注文が入ります。

肉料理。

魚料理。

前菜。

パスタ。

デザート。

提供する料理はレストランによって異なりますが、厨房ではそのオーダーを確認し、それぞれの持ち場が動き始めます。

ただし、注文が入ってから食材を探し、一から仕込みを始めるわけではありません。

レストラン営業とは、「営業前に準備する仕事」と「注文が入ってから仕上げる仕事」がつながって成立しています。

この関係が分かると、ホテルレストラン厨房の仕事内容全体が理解しやすくなります。

JOURNAL 02

Service begins long before the first order. ランチ・ディナー営業は「仕込み」から始まっている

たとえばランチ営業が11時30分から始まるとしても、厨房の仕事が11時30分から始まるわけではありません。

お客さんが来店する前に、オーダーが入ったら料理を進められる状態まで準備します。

食材を準備する

野菜を洗う。

必要な大きさに切る。

肉や魚を下処理する。

必要な量へ分けておく。

料理によって必要な準備は異なります。

ソース・スープ・付け合わせを仕込む

営業中に使うソースやスープ、付け合わせなども準備します。

どこまで事前に仕込み、どこから注文後に仕上げるのかは料理によって違います。

営業前に進められる仕事は進めながら、料理としての最終的な状態はオーダー後に完成させます。

皿と器具を準備する

食材だけ揃っていても、営業はできません。

使用する鍋やフライパン。

トングやレードルなどの器具。

料理を盛り付ける皿。

仕上げに使うもの。

自分の持ち場で必要になるものを、すぐ使える位置へ揃えていきます。

自分の持ち場を「すぐ動ける状態」にする

営業開始前には、最後に持ち場全体を確認します。

必要な食材は揃っているか。

仕込みは足りているか。

皿は準備されているか。

器具は所定の位置にあるか。

予約やメニューで注意することはないか。

営業中に必要なものを何度も探していれば、その数十秒が注文の重なる時間には大きな遅れになります。

仕込みの目的は、単に食材を切ることではありません。「オーダーが入ったら、すぐ次の工程へ進める状態」をつくることです。

JOURNAL 03

Then the first ticket arrives. オーダーが入ると厨房の時間が変わる

レストランがオープンし、最初の注文が入ります。

ここから厨房は、営業前とは違う動きになります。

仕込み中であれば、自分たちである程度仕事の順番を組み立てることができます。

しかし営業中は、入ってくるオーダーによって次の仕事が変わります。

オーダー確認 ↓ 担当が動く ↓ 調理 ↓ 盛り付け ↓ 料理を揃える ↓ サービスへ渡す

一件だけなら、それほど複雑ではないように見えるかもしれません。

しかし、一つの料理を作っている間にも次の注文が入ります。

さらに別のテーブルから注文が入ります。

厨房では少しずつ、複数の料理が同時に動き始めます。

レストラン厨房では、「今作っている料理」と「次に始めなければならない料理」を同時に考えながら営業が進みます。

JOURNAL 04

One table may involve several cooks. 一つのテーブルを、複数の料理人で完成させる

ホテルの規模やレストランの料理ジャンルによっては、厨房内で仕事を分担しています。

前菜を担当する。

魚料理を担当する。

肉料理を担当する。

温かい付け合わせを担当する。

デザートを担当する。

もちろん、すべてのレストランが同じ分業になっているわけではありません。

小規模な厨房では、一人が複数の料理や工程を担当することもあります。

重要なのは、一人の仕事だけで一つのテーブルが完成するとは限らないということです。

たとえば同じテーブルから、魚料理と肉料理が注文されたとします。

別々の担当が作る場合、それぞれが好きなタイミングで料理を完成させればよいわけではありません。

どの料理を先に始めるのか。

いつ仕上げるのか。

同じテーブルの料理をどこで揃えるのか。

コース料理なら、次の皿をいつ進めるのか。

レストラン厨房では、自分の料理だけでなく「テーブル全体が今どこまで進んでいるか」を見る場面があります。

盛り付けで別々の仕事が一皿になる

調理したものは、最後に皿へ盛り付けます。

メインとなる料理。

ソース。

付け合わせ。

最後の仕上げ。

それぞれ別に準備してきたものが、一枚の皿の上で一つの料理になります。

ここで重要なのは見た目だけではありません。

温かい料理なら、できるだけ適切な状態で送り出す。

ほかの料理と一緒に出す必要があれば、そのタイミングも合わせる。

料理が完成してから長く止まってしまえば、それまでの工程にも影響します。

厨房とサービスをつなぐ

完成した料理の先には客席があります。

どのテーブルへ出す料理なのか。

必要な料理が揃っているか。

次のコースをいつ進めるのか。

追加や変更はないか。

厨房とサービススタッフが情報を共有しながら営業を進めます。

レストラン厨房の仕事は、厨房の中だけでは完結しません。厨房の進行と客席の進行がつながって、一つのサービスになります。

JOURNAL 05

During the rush, the present and the next order overlap. ランチ・ディナーのピークでは「今」と「次」を同時に見る

営業が進み、お客さんが増えると、注文も重なっていきます。

一つ作って、一つ出す。

その料理が終わってから次を作る。

忙しい時間には、それだけでは間に合わなくなります。

一つの料理は火にかかっている。

別の料理は盛り付けに入る。

次のオーダーの食材を準備する。

ほかのテーブルの料理も始める。

不足した仕込みを補充する。

使い終わった器具や場所を整える。

目の前の一皿だけに集中しすぎれば、次の料理が遅れます。

反対に、次の仕事ばかり考えて今作っている料理を疎かにすることもできません。

ピーク時のレストラン厨房では、「今やらなければならないこと」と「数分後に必要になること」を並行して考えます。

料理を出したら、小さく持ち場を戻す

料理を一皿出しても、営業は終わりません。

使用した器具を戻す。

不足した食材を補充する。

汚れた作業台を整える。

皿を補充する。

次のオーダーに必要なものを確認する。

作る ↓ 仕上げる ↓ 送り出す ↓ 整える ↓ 次の一皿

営業中は、この小さなリセットを何度も繰り返します。

速く作るだけではなく、「次も速く作れる状態へ戻すこと」までがレストラン営業です。

JOURNAL 06

Lunch and dinner do not always move the same way. ランチとディナーでは厨房のリズムも変わる

同じレストラン厨房でも、ランチとディナーがまったく同じ動きになるとは限りません。

ランチでは、比較的短い時間に来店や注文が集中するレストランがあります。

一方、ディナーではコース料理を提供したり、一組のお客さんが時間をかけて食事をしたりする店舗もあります。

アラカルト中心なのか。

コース中心なのか。

ビュッフェ形式なのか。

宿泊客が中心なのか。

外来利用も多いのか。

レストランの営業スタイルによって、厨房の動き方は変わります。

場面 厨房で意識すること
営業前 オーダーが入ったらすぐ動ける状態をつくる
営業開始 最初の注文を確認し、それぞれの持ち場が動き始める
ピーク 複数の料理とテーブルを同時に進める
営業後半 注文状況を見ながら仕込み量や持ち場を調整する
営業間 片付け・補充・追加仕込みをして次の営業へ戻す
ラストオーダー後 最後の料理を出し、片付け・清掃・翌日の準備へ進む

ランチが終われば、ディナーを作り直す時間へ

ランチとディナーの両方を営業するレストランでは、ランチの最後の料理を出しても、その日の仕事が終わるわけではありません。

ランチ終了 ↓ 片付け ↓ 不足確認 ↓ 追加仕込み ↓ 営業準備 ↓ ディナー

ランチで使った食材を確認する。

不足した仕込みを追加する。

器具や作業台を整える。

ディナーの予約や料理を確認する。

そして厨房を、もう一度営業できる状態へ戻します。

レストラン厨房では、一つの営業が終わるたびに、次の営業を始めるための準備が始まります。

ホテル全体では、レストラン以外にも朝食や宴会などさまざまな営業が動いています。ホテル調理師の一日全体を時間の流れで見たい場合は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ホテル調理師の一日の流れを、朝の仕込みからランチ・宴会・退勤まで見る

JOURNAL 07

A hotel restaurant is still a restaurant — but the workplace around it may be different. ホテルレストラン厨房と一般のレストラン料理人は何が違う?

ホテル内のレストランでも、一般のレストランでも、

仕込みをする。

注文に合わせて料理を作る。

盛り付ける。

サービススタッフと連携する。

営業後に片付ける。

といった基本的な仕事には共通する部分があります。

一方、ホテルによっては、一つの施設の中に複数のレストラン、宴会場、朝食会場などがあり、調理部門そのものが大きく構成されています。

複数の厨房があるホテル。

料理ジャンルごとに厨房が分かれているホテル。

レストランから別部門へ異動する可能性があるホテル。

分業が細かい厨房。

一人が幅広く仕事を担当する厨房。

そのため、「ホテルで働くか」「レストランで働くか」という言葉だけでは、実際の仕事内容までは判断できません。

比べるときは、職場の名前ではなく「どの厨房で、どんな料理を、どのような体制で作るのか」まで見ることが大切です。

ホテル調理師と一般のレストラン料理人について、仕事内容、分業、勤務時間、休日、キャリア、身につく経験まで比較した記事はこちらです。

ホテル調理師とレストラン料理人の違いを、仕事内容・働き方・経験から比較する

JOURNAL 08

Restaurant hours do not equal kitchen hours. レストランの営業時間と調理師の勤務時間は同じではない

ホテルレストランで働くことを考えるとき、もう一つ確認したいのが勤務時間です。

たとえばレストランのランチ営業が11時30分から始まるとしても、調理スタッフが11時30分に出勤するわけではありません。

営業前には仕込みと営業準備があります。

また、ディナー営業が終わっても、最後の料理を出した直後に全員が退勤するわけではありません。

片付け、食材整理、清掃、翌日の準備などがあります。

ランチ中心のシフト。

ディナー中心のシフト。

早番・中番・遅番。

ランチからディナーまで関わる勤務。

営業の間に休憩を取る勤務。

実際の勤務時間は、ホテル、レストランの営業時間、シフト、担当ポジションによって変わります。

仕事を探すときは、レストランの営業時間ではなく「自分のシフトが何時から何時までなのか」を確認する必要があります。

早番・中番・遅番・中抜けなど、ホテル厨房全体のシフトについてはこちらで詳しく整理しています。

ホテル調理師の勤務時間と、早番・遅番・中抜けシフトを詳しく見る

JOURNAL 09

The last ticket is not the end of the shift. ラストオーダーを出しても厨房の仕事は終わらない

ディナー営業が進み、やがて最後のオーダーが入ります。

最後の料理を作る。

盛り付ける。

必要な料理を揃える。

サービススタッフへ渡す。

客席から見れば、レストラン営業は終わりへ向かいます。

しかし厨房では、そのまま仕事が終わるわけではありません。

残った食材を確認する。

保存するものを整理する。

調理器具を洗浄する。

作業台や設備を清掃する。

冷蔵庫や持ち場を整える。

翌日に必要な仕込みや不足を確認する。

営業中に広がった厨房を、次の日にも使える状態へ戻していきます。

最後の一皿を出すことと、厨房の仕事が終わることは同じではありません。

そしてこの時間は、営業ピークの緊張が少しずつ抜けていく時間でもあります。

オーダーが減る。

空いた器具が戻る。

作業台が少しずつ片付いていく。

同じ厨房の中で、営業中とは違う時間が流れ始めます。

CONNECTED STORY

Before the Kitchen Goes Quiet|厨房が静かになるまで

The rush does not end all at once. Orders slow down, equipment returns to its place, and the tension of service gradually begins to fade.

最後のオーダーが近づき、料理を出し、器具を戻し、厨房を片付けていく。

まだ勤務中でありながら、営業中の緊張だけが少しずつほどけていくホテル厨房の時間を描いたON SHIFT作品です。

JOURNAL 10

Questions about hotel restaurant kitchen work. ホテルレストラン厨房の仕事内容についてよくある疑問

ホテルレストラン厨房の仕事内容は何ですか?

主に食材の仕込み、営業準備、注文に合わせた調理、盛り付け、料理の送り出し、食材や器具の補充、片付け、清掃などを行います。

実際の担当範囲は、ホテル、レストランの種類、厨房規模、経験、役職などによって異なります。

注文が入ってから料理を全部作るのですか?

すべてを注文後に一から準備するわけではありません。

営業前に食材の下処理、ソース、スープ、付け合わせなど必要な仕込みを行い、注文後に加熱や盛り付けなどの最終工程を行う料理があります。

どこまで事前に準備するかは、料理や店舗によって異なります。

ホテルレストラン厨房では一人で一皿を全部作りますか?

厨房によります。

分業している厨房では、前菜、魚料理、肉料理、デザートなどを別の担当が受け持つことがあります。

一方、小規模な厨房では一人が複数の工程や料理を担当することもあります。

ランチとディナーでは仕事内容が違いますか?

基本的な仕込み・調理・盛り付けなどには共通する部分がありますが、営業スタイルによって動き方は変わります。

ランチでは短い時間に注文が集中する場合があり、ディナーではコース料理や長い滞在時間に合わせて料理を進めるレストランもあります。

ランチ営業が終わったら仕事も終わりますか?

ランチとディナーの両方を営業するレストランでは、そのまま仕事が終わるとは限りません。

ランチ後に片付け、不足した仕込みの追加、ディナーの予約確認、持ち場の準備などを行うことがあります。

ホテルレストラン厨房で忙しいのはいつですか?

一般的には、来店と注文が集中するランチやディナーのピークに仕事も集中します。

ただし、予約状況、曜日、季節、レストランの営業形態などによって忙しくなる時間は変わります。

ホテルレストラン厨房の勤務時間は何時からですか?

担当するレストランやシフトによって異なります。

営業開始前には仕込みや準備があるため、通常はレストランのオープン時間より前から厨房の仕事が始まります。

営業後にも片付けや清掃などがあるため、営業時間だけを見て勤務時間を判断しないことが大切です。

ホテルのレストランと一般のレストランでは仕事が違いますか?

仕込み、調理、盛り付け、営業準備など、基本的な仕事には共通する部分があります。

一方、ホテルによっては複数のレストランや宴会場、朝食厨房などを持ち、調理部門の規模、分業、配属、異動などの仕組みが異なる場合があります。

SUMMARY

One plate leaves. The next one has already begun. まとめ|ホテルレストラン厨房は「次の一皿」を作れる状態をつなぎ続ける

ホテルレストラン厨房の仕事内容は、料理を作ることだけではありません。

仕込む ↓ 持ち場を整える ↓ オーダーを受ける ↓ 調理する ↓ 盛り付ける ↓ 送り出す ↓ 整える ↓ 次の一皿

営業前には、注文が入ったらすぐ料理を進められる状態をつくります。

営業が始まれば、複数の料理とテーブルが同時に動きます。

料理を作りながら次のオーダーを見る。

一皿を出しながら、不足した仕込みを確認する。

自分の料理を見ながら、同じテーブルのほかの料理の進行も見る。

ランチが終われば、持ち場を整え直してディナーへ。

最後のオーダーを出せば、片付けと翌日の準備へ。

ホテルレストラン厨房とは、オーダーに合わせて一皿を完成させながら、その次の一皿にもすぐ応えられる状態をつなぎ続ける場所です。

客席から見えるのは、テーブルへ運ばれてきた一皿です。

しかし厨房側から見ると、その一皿の前には仕込みがあり、複数の人の仕事があり、タイミングを合わせる時間があります。

そして一皿を送り出した瞬間には、厨房ではすでに次の仕事が始まっています。

ホテルレストランだけではなく、朝食、宴会、仕込み、片付けまで含めてホテル調理師の一日全体を知りたい場合は、次の記事へ進んでください。

次に読む|ホテル調理師の一日の流れを、出勤から仕込み・営業・退勤まで見る

AFTER SHIFT

One plate leaves. The next one has already begun.

一皿を送り出したとき、厨房ではもう次の一皿が始まっている。

おすすめの記事