A Day Not Yet Decided|まだ決めていない一日
PRIVATE HOURS
A Day Not Yet Decided まだ決めていない一日

THE EVENING

Nothing has to be decided tonight. 今夜は、まだ何も決めなくていい。

Work is over.
The next plan has not begun.
For now, the empty space can remain empty.

Earlier that day, Mio saw the new monthly schedule at work.

Back home, one empty square begins to mean something different.

仕事を終えて家へ戻った澪は、
昼間に見た来月の勤務表をもう一度開く。

早番。
遅番。
連勤。

その途中に、一日だけ何も書かれていない。

厨房では、ただの「休日」だった。
けれど自分の部屋で見ると、
その空白は少し違って見えた。

仕事から帰宅し、自宅で来月の勤務表をスマートフォンで確認する白石澪
SCENE 01

Back Home 仕事の外へ

澪は、もう家にいる。

シェフの制服は脱いだ。
仕事用の靴も玄関に置いてある。

ステンレスの作業台もない。

誰かを呼ぶ声も、
食器の音も、
次の仕事を知らせる声も聞こえない。

小さな照明だけをつけた部屋は静かだった。

澪は飲み物を置き、
スマートフォンを開く。

昼間に保存しておいた勤務表。

同じ表なのに、
厨房で見たときとは少し違って見える。

The schedule has not changed. Only the place around it has. Work is somewhere else now.

静かな自宅で次の休日の過ごし方を考える白石澪
SCENE 02

The Empty Square 空白の一日

澪は自分の名前の横をゆっくり追っていく。

早番。
早番。
通常勤務。
遅番。

そして指が止まる。

休日。

そこには何も書かれていない。

出勤時間もない。
宴会もない。
レストラン営業も関係ない。

厨房で見たときは、
「勤務がない日」だった。

でも今は、 その一日をどう使うのかまで 誰かに決められているわけではない。

遅くまで眠ってもいい。

朝からどこかへ行ってもいい。

何もしなくてもいい。

At work, the empty square meant no shift. At home, it becomes something larger: a day that belongs only to Mio.

SCENE 03

No Answer Tonight 今夜は決めなくていい

何をしよう。

目覚ましをかけずに眠る。

気になっていたカフェへ行く。

電車に乗る。

買い物をする。

目的を決めずに歩く。

あるいは、一日中家にいる。

澪は天気予報を開く。

でも、すぐに閉じた。

地図も開く。

それも閉じた。

仕事なら、決めたあとには次の動きがある。

準備する。
運ぶ。
確認する。
時間に間に合わせる。

でも今夜は、誰も返事を待っていない。

今日決めなくても、何も困らない。

At work, decisions usually lead to the next task. Tonight, no one needs an answer.

仕事後の自宅で飲み物を手に勤務表を眺める白石澪
SCENE 04

The Day Remains 一日は残っている

澪はスマートフォンを横へ置いた。

窓の外では、いつもの夜が続いている。

車が通る。

いくつもの窓に灯りがついている。

まだ働いている人もいる。

もう眠ろうとしている人もいる。

休日までは、まだ数日ある。

澪はもう一度だけ勤務表を見る。

空白は、そのままだった。

外で迎える朝。

静かなカフェ。

電車の窓。

長い散歩。

何もしない午後。

どれも、まだ起きていない。

澪は画面を消した。

勤務表は見えなくなった。

でも、その一日は残っている。

結局、今夜は何も決めなかった。

何も決めなかったからこそ、
その一日は少しだけ大きく感じられた。

Mio turns off the screen. The schedule disappears. The day does not.

予定を決めないまま静かな夜を自宅で過ごす白石澪
ABOUT THIS WORK

The empty square changes after work. 同じ空白でも、仕事の外では意味が変わる。

『A Day Not Yet Decided|まだ決めていない一日』は、 仕事が終わってから、 次の予定が始まるまでの小さな時間を描いた PRIVATE HOURS作品です。

仕事中に見る勤務表は、とても実務的です。

何時に出勤するのか。
何日勤務が続くのか。
いつ休みなのか。

けれど仕事を終え、 自分の部屋でもう一度同じ表を見ると、 何も書かれていない一日の意味が変わります。

「仕事がない日」から、 「自分で使い方を決められる日」へ。

そしてこの作品で大切なのは、 澪がまだ何も選ばないことです。

行きたい場所を決めなくてもいい。

明日の予定を作らなくてもいい。

空いている時間を、 すぐ別の予定で埋めなくてもいい。

PRIVATE HOURSで描くのは、 単に「仕事をしていない時間」ではありません。

仕事によって使い方を決められていた時間が終わり、
次に何をするのかを自分で決められるようになる。

その境界にある静かな時間です。

PRIVATE HOURS begins after obligation ends, but before the next plan has taken its place. Nothing dramatic needs to happen. Sometimes freedom is simply leaving the space empty.

仕事は終わっている。

けれど次の出来事は、まだ始まっていない。

義務と予定のあいだにある、 誰にも使い方を決められていない時間。

この作品では、 その小さな自由を、 家で勤務表を眺める一人の夜として描いています。

CONNECTED WORKS

One empty square. Three different moments. 一つの空白から、自分の時間が始まっていく。

厨房で見つけた一日の休日。
家でまだ何も決めない夜。
そして、実際にその日を迎える朝。

同じ一つの空白を、 仕事の中と外から描いています。

At work, it is an empty square.
At home, it becomes a possibility.
On the day itself, it finally becomes her own time.

AFTER SHIFTの架空の登場人物、28歳のホテル調理師・白石澪
FEATURED CHARACTER

28歳のホテル調理師。

仕事中の澪は、 時間を確認し、 次に必要なことを考えながら動いています。

けれど自分の部屋へ戻れば、 すべての時間に次の予定を入れる必要はありません。

何を食べるのか。
どこへ行くのか。
今夜、何をするのか。

あるいは、 まだ何も決めないのか。

Mio is a 28-year-old hotel chef. Away from the kitchen, PRIVATE HOURS follows the small choices that belong only to her.

CONTINUE THE STORY

Between work and the next day. 仕事が終わったあとにも、物語は続いている。

仕事の外に戻った時間を描くPRIVATE HOURSと、
その時間が実際の休日へ変わっていくHOLIDAY。

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